秋野不矩の天才画の解説

f:id:dragon-tiger17:20240308055320j:image先日、師匠の珍しい大和絵の絵が架かっていると聞いたので頑張って行きました。3月12日までですので是非。https://www.nhk.or.jp/kyoto/lreport/article/001/02/

f:id:dragon-tiger17:20240308055535j:image手っ取り早く何が凄いか解説します。f:id:dragon-tiger17:20240308055620j:image世界中で天才作家と認められる条件が幾つか有りますが特に評価される点は「赤色」が出せる事が第一技です。ピカソルノアールミケランジェロも赤色が出せたから認められたのです。赤色を出すのは、声楽で言うと完璧なベルカント唱法が出来る殆ど超難易度が高い腕が必要です。師匠の絵をご覧ください、赤色のバリエーションが素晴らしい。f:id:dragon-tiger17:20240308060536j:image第二に、これも古今東西問わず「構成力」です。俵屋宗達尾形光琳に匹敵する見事な構成力です。過去の巨匠の作品を辿って見てもあり得ない構成力です。プロの描きが全員無理と思うほどの数学的知性です。畏怖を感ます。f:id:dragon-tiger17:20240308061315j:image第三に、金色を使える。秋野不矩以外にはこの様な成功例はない技法。普通は金色と彩色面が分離するか装飾性を優先させますが、師匠の絵は作品に溶け込み自然な空間や装飾性のぎりぎりの接点で調和させています。過去の作家の作品を辿れば平家納経や寝覚物語絵巻の成功例。近代から現代ではこの様なバランスを保てた作例はない。f:id:dragon-tiger17:20240308062630j:image第四に形を描く力、ほぼ全て彩色や線は一発描き。しかも引き目かぎ鼻、今回、作品を間近で拝見出来ますが、一発で、しかも筆先に柔らかい情緒感じる軽やかさ。気絶するほど恐怖を感じる上手さ。f:id:dragon-tiger17:20240308055620j:image第五に筆使い。日本画の岩絵具に透明感や艶を感じる彩色法は、筆の上下運動による濃淡や抑揚の妙技です。没骨法を使いながら一ミリ以下の精度で形と質感を同時に表している。つまり、一筆で3つ以上の事を同時に行なっている。ミケランジェロも出来なかった技。この様な事が出来るので辰砂や朱色一色でこの様な赤色のバリエーションが出せる訳です。

第六に線の妙、

第七にたらし込み技法

など、

私が、師匠として選んだ目👀にくるいは無かった事に誇りにおもいます。そして、もし同級生だったら絶望しか無かっただろうと想像すると安堵します。f:id:dragon-tiger17:20240308062614j:image秋野不矩は第一回上村松園賞を受賞していますが、秋野先生から直接お尋ねしたのですが、都をどりの舞妓の絵などの仕事は「あんな絵、(笑)」と、余技の様事と考えられていました。が、今回、展示されている都をどりのポスター用の原画は、プロの作家からすると実現不可能な奇跡が定着されている絵です。

ほんと、師匠で良かった、さもなければ絶望を突き付けらた感じに、或いは、何が表現されているかさえも分からなかったと思います。