先日、2021/12/09のお稽古の尾形光琳の「竹寅図」の模写です。
古色も再現されていて、実物よりは幾分に黒が濃く、大変健康的で元気な若虎さんに再現されて素敵ですね。
日本画模写の醍醐味は、単なる写し物やレプリカ作りではなくて、例えば400年前の天才絵描きの息吹を感じる事です。
続けておられますと何時か尾形光琳がそっと横から肩を叩いて「あっ、そうだよその筆いいね👍」と、囁く様な錯覚を覚える瞬間が来るかもしれません。
先日のお稽古で、たまたま墨についてのお尋ねが重なりましたのブログで簡単にアドバイスをさせて頂きます。
自分の思い描くイメージの黒を見つけるのは大変なのですが、
これも関西に住んでいればこその地の利により、
古梅園本店や呉竹本店製造工場に直接乗り込んで取材した私めの私見からお伝えします。
まず、日本画家なら必ず大学などで勧められる古梅園の「一ツ亀」🐢(私め、ほぼ強制的に買わされました)
は、大変に汎用性が広く現代日本画では必須アイテムです。
原料は重油煤とアルミナの様な溶媒の混合物です。
なので、大きな面を「一ツ亀」🐢だけで黒を求めて塗りつぶすと、黒くなり切れず奥行き感は得られません。
重油煤で、ボリューム感の有る黒を求めると、ほぼ重油煤だけで作られた古梅園「紺碧」がお勧めです。
重油で作られても決して悪い色ではないので誤解のない様に、私も使うべき所では使います。
ただ、「紺碧」の長所であり短所は、赤ぽくもなく青っぽくもなくほぼ完璧な黒過ぎる所です。
私の場合、昔よく使った墨です。
油絵や他のジャンルの絵に馴染んだ人の目には良いかも知れません。
次に、手に入り安いお勧めの墨は、古梅園「紅花墨」です。
これは、他のブランドでも類似品が多いベストセラー商品です。
原料は、菜種油の煤と紅花から抽出した紅です。
「紅花墨」は、しかし、ベストセラーだけに見た目は同じでも煤と紅だけで作った五つ星のものから、
かさ上げに入れたアルミナや泥など溶媒の混合率により、四つ星、三つ星など値段相応に色が薄まり色の厚みの変わります。
また、谷崎館でもオプションでお勧めしている「紅花墨(聖煙)」は、五つ星の上のレベルの墨ですが、
五つ星とは別物と思われるほど絶対的な信頼感があります。(つまり、色に苦労しないのです。)
五つ星は、ほぼ純菜種ですので十分な美しさが、味わえます。私の場合は、使い分けています。聖煙に比べて少し荒いかな?と言う感じです。
次に、一般にお使いなら多分、古梅園の煤か呉竹の煤からOEM製造された(しかし、煤の製法は独自の製法がありオリジナル)
墨を売る一心堂の「純菜種墨」か「寧楽」と言う墨です。
原料は、菜種煤だけ、或いは、菜種煤と紅花の紅です。
古梅園の同じ原料のものよりニ、三千円安く手に入り、色も使い心地も満足出来るものです。
私の場合、金箔の上に描く場合、沢山良い墨が必要なので「寧楽」を使っています。(つまり、金に負けない隠蔽力と素直さが有る墨です。)
私の経験上、沢山、本当に血を絞る様な思いで墨を色買い込んで試しましたが、
コストパフォーマンスを考えると古梅園の「紅花墨」か一心堂「純菜種」か「寧楽」が良いと思います。
最近では、ヤフオクやメルカリなどで出物があるので、そちらも狙い目かもしれません。
呉竹は、あえてお勧めしなかったのは、製造工場に行って感じたのですが、適当なカーボン入れて作ってんのちゃうの?と、思ったからです。ほぼ、インク屋さんかな?と、思いました。
呉竹の顔料インクの筆ペンはお勧めです。
因みに、お勧めした墨以外はほぼ、工業インクを混ぜて作ったり、高価で良いものでも天然藍を入れて作られていたりして初心者の絵には使えません。
墨は、自分で買って使ってみないと分からない素材です。
中には、一回筆につけたら🖌筆がダメになったり、硯が使えなくなったり(//∇//)、
散々な目に遭いました私めの千金積んだ経験に基づいた私見で御座います。拝
例えば、月夜の暗さを表現するには、私なら一層目に純菜種油の墨、その上に好みに合う墨や絵の具を重ねます。