この頃のプロの絵描きが描く絵ほどつまらない絵はないと思います。むかし、祇園の老舗画廊に毎月絵を持って行って勉強していた時期がありました。なんだか下手な絵が飾って有りましたが売れる絵なんですね。
絵描きの世界から見る良い絵と、バイヤーから見た良い絵と、絵を実際に買う人の良い絵は、ハッキリと違うのを目の当たりしたわけですけれど。
若い私は、プロ作家としてその道がよく分からなかったのでした。画商の主人から「あなたはどうしたいのか?分からない。」と、問われて私自身よく分からない事に気付きました。絵描きとして、世間と関わって行く為にどの色に染まるのか。
多分、習っていた大学の先生なら直ぐにどうすべきか教えくれた簡単な問いですが。
秋野不矩に習ったいたので、私にはよく分からない世界の話でした。多分、秋野先生なら直ぐに怒ったに違いない。
よくよく考えてみると、秋野先生の絵は画商主の示した三つの目線とは全く乖離した別の目線で絵を描いているのでした。
それに、何となく気付いたら私は、祇園の画廊に出入りするのをやめました。
振り返ると、あの時、ホントに行くのをやめて良かったです。今でも古い画廊は絵が売れない時代を彷徨っています。そんな疫病神に自分から飛び込む様なもんでしたから、危なかったです。
昭和の画廊主はスケールがデカかったけれど、平成になって無くなりましたね。学生のころ銀座で北辰画廊の主人に会った時の事、忘れられないです。大学の先生に紹介され私の顔をまじまじ観て「サラブレッドだな!」と、言われた時の迫力は凄かった。「え!俺どうなるの?」と、思いました。
昭和の画商が育てた三山と言われた平山、加山、横山、の諸先生方。それに高山、東山も付きますが良い時代でしたでしょうね!